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「恋愛錯誤」を読んで(谷口冴 著)

恋愛錯誤


「恋愛錯誤」を読んだ。
帯にはこうある。

「中年期にさしかかった女性が、
若き日の恋を回想する。
純粋で、少し不器用な恋模様を描いた、
レトロチックな恋愛小説。」


作者の小説ジャンルを知らないので、いったいどんな小説だろうとわくわくして手にとった。
内容は今で言うライトノベルかな。さくっと読み進めることができる。

目次を見ると大まかに4つ。
主人公の年齢とともに当時のエピソードと恋が描かれる。
物語の主人公は池上喜久子。
50歳を過ぎていまだ独身。
ふと目覚めて徐々に過去の記憶に想いを巡らせるという内容だ。


あらすじ(以下ネタバレ含む、読みたくない方はスルー奨励)



大学生の喜久子。
大学に通いながら映画館でバイトをしている。そこに出入り業者の松井が現れる。
なれなれしい松井に対し、喜久子は反発を覚えるのだが気になってしょうがない。
同僚に冷やかされる喜久子だったが、しだいに興味を覚え強引な松井の誘いで一緒に食事をすることとなる。

「おまえ、飲めるのか」松井が聞いた。
「飲むけど。大学へ入学してすぐに、コンパがあるじゃない。そこで飲まされてね。
競争だ、と言われて、飲み続けていたら、先輩が、先に酔いつぶれた」
「私中華が好き」
「中華か、よし行こう」


若さのあふれる初々しい喜久子。
大学も、バイトも、恋もすべてが輝いていたあの時代。
インベーダーと題されるこの章は、何事にもひたむきな喜久子は同僚や異性にもものおじせずに向かっていく。
やがて松井はある理由で喜久子の元を去るのだが、若い喜久子はそこで驚くべく行動に出る。


大学を卒業し社会人となった喜久子。
会社員としてアットホームな会社で働くことになる。
そこに新入社員として塩崎が入社してきた。
女性がつきそっているが母親ではない。
その女性は手話通訳者であった。
新入社員ということもあり、大学時代に手話同好会に入会していた喜久子と塩崎は急速に距離を縮めていく。
そして、通訳者の誘いで喜久子は手話サークルに入会することとなる。通訳者は石川と名乗る。
大学時代、手話を頭だけで覚えていたのとちがい、本当のろうあ者と触れ合うにつれ彼らも普通の若者とちがいがないことに気づく。
だが、29歳独身の会員、桜木や塩崎と知り合うようになって、しだいに疑問に思うようになる。
石川によると、喜久子の感じた物足りなさは、ろうあ者の成長過程にあった。情報不足によって社会から取り残されてしまい、自分の世界を広げられないでいる人もいるようだ。
やがて塩崎と親しくなった喜久子は、彼を自分のアパートに招き、キスをせまられる。
驚く喜久子だったが、塩崎はそれ以来出社しなくなりやがて退社してしまう。
責任を感じた喜久子は石川に相談するが、ろうあ者であるがゆえのストレートな気持ちに答えられなくても気にしなくてもいいと言う。
釈然としないがどうすることもできない喜久子だった。


数ヶ月が過ぎ、手話サークルをやめた喜久子は、免許を取った石川にあこがれ自分も免許を取ることにする。
石川の紹介で自動車学校に通うことにした喜久子は、親の了解を得ようと久しぶりに実家に電話をした。
過保護をきらい独立した喜久子だったが、授業料を無心されたと勘違いした母親に素直に感謝して受け取ることにした。
教習を開始した喜久子だったが、やがて大型免許を取りにきた飯寺と知り合う。
仮免に合格した日、飯寺は「おめでとう」と握手をしてきた。
しだいに仲良くなった二人だったが、飯寺の申し出で自宅まで送ってもらうことに。
かっこいいスポーツカーに気をよくした喜久子を、飯寺は食事に誘う。


「飯寺さんって、自分のこと僕って言うの、俺っていうの」
「何でそんなことをきく」
「あの車に僕は似合わない」
これには飯寺は吹き出してしまった。食べていた軍艦のイクラがこぼれてしまった。
「じゃぁ俺か」
「ミーとかもやめてよ」
「アイマイミーマイン」
飯寺がリズムをつけて言った。
今度は喜久子がネタをこぼした。


デートを重ねる二人。
しだいに喜久子は飯寺に惹かれていった。
学科試験にも合格した喜久子は、飯寺と合格祝いの食事をする約束をして別れた。
その日飯寺は来なかった。
不安になった喜久子は飯寺の勤める電器店に電話をする。
飯寺は事故にあったのだ。あわてて見舞いにかけつける喜久子だったが、驚愕の事実を知ることになる。


喜久子は三十路を過ぎていた。
免許を取って車を買ったがアパートには駐車場がない。
引越しを決意した喜久子は、会社から電車で五つ目の駅に物件を見つけた。
引越しを終えてあいさつに伺った大家宅で、二男坊菅原利昭に出会う。
しかし菅原は、なんと自分の隣に住んでいた。
さっそくあいさつに向かった二男坊の玄関で、無愛想な応対をされた喜久子は怒り心頭であった。
その後しばらくして、大家の息子である菅原が訪ねてきた。
立て付けが悪いから隙間テープを使ってくれと持参してきたのだ。
ぶっきらぼうではあるが、案外悪い人でもないかもと思う喜久子だった。
喜久子が気になる菅原は、へたくそなラブレターを喜久子に渡す。

「どうするかな」
喜久子は考えた。
付き合ってください、と最後にフェルトペンで書かれていた。
最後の文字だけ太く書かれてあるのは、かなりインパクトがあるなと思った。
おかしな人という印象はあるが、憎めない気がした。
だらだらと自分の気持ちを綴った文章を、読むにつれて愛おしさも出てきたのだ。

海に行きたい、という喜久子。
元カーレーサーという菅原は、高速道路に向かった。遅い車をスイスイと抜いていき、喜久子は素直に感心する。
やがて喜久子は菅原の部屋で食事を作るようになった。
40歳になる菅原とは半年ほど暮らすこととなる。
そんな二人のもとに、喜久子のいとこが訪ねてきた。
サラ金に借金を重ねたあげく喜久子に借金を申し込みにきたのだ。
即座に断った喜久子だったが、その後逆上した菅原に部屋を追い出されてしまう。
理由のわからない喜久子だったが、ある事実が浮かび上がってきた。


結婚と言うものに縁がなかった現在の喜久子。
喜久子の自問自答は、しばらく続く。

「所詮、恋愛なんて、誤解と錯覚の連続なのかも」

チャイムが鳴った。
喜久子はインターホンを取った。
テレビモニター付きのインターホンは、一人の男性訪問者を映し出していた。




冒頭、ライトノベルのようと書きましたが、水のようにサラサラと読めます。
自分と同年代の主人公。
あぁ~そんなこともあったなぁ、と感傷にひたりながら。
序盤に登場する松井君はインベーダーゲームの達人なのですが、昔はゲーセンというよりは喫茶店とかホテルのロビーで必ず達人が注目を集めていたものでした。

恋愛にうといわけでもなく、むしろ好感を持たれることの方が多い喜久子がなぜ結婚できないのか。
世の中は不公平なものですね。
いっちゃぁおしまいだけど、こんな子が?っていうブチャイクな女性がイケメンをゲットする場合もあるのに。
登場する男性陣も、今と違い草食男子というわけでもなく収入がないというわけでもない。
喜久子がしつこく結婚をせまって嫌われるというパターンでもないようです。
言ってみれば不幸の連鎖なのかもしれません。

読後感がさわやかなのは、喜久子の物怖じしない明るい性格にあると思います。
男性から見ると鎧で覆われていない、好奇心の強い女性です。
こんな素直な子だったら今の時代、きっと誰かにだまされてしまいそうな。
昔はこんな時代でした。
女の子をナンパするのは車の時代。看護学校の前とか、歓楽街とか、女の子の帰宅を待って車が列をなしてましたね。

自分の気になったのは石川さん。
大人のお姉さん的な、キャラでいえば天海祐希のイメージですね。
ペーパードライバーなのに、車を暴走運転するワイルドさにやられました。

ちょっと気になったのは、さわやか過ぎるという点。
年代と共に男性遍歴を重ねる主人公の、大人になる体験もあったらちょっとドキドキしたかも。

著者あとがきで、著者の執筆の後押しをしたのが司馬遼太郎ということにちょっとうれしくなりました。
竜馬がいく、を書いた司馬遼太郎。
香川の地にまた新星が生まれました。




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NO TITLE

ひろあーちゃん さん

あらら、けっこう読みたい方いるんですね。
それならあらすじはスルーですね。

アマゾンでも楽天でも買えますので早くゲットしてね。

NO TITLE

こんにちは
私も読んでみたいと思ってます(^O^)
なので あらすじはスルーしてしまいました
ジャンル的には私の好きそうな…

まだ手に入れてないので
早急にゲットしなくては(>_<)

NO TITLE

優々kaka さん

お、優々kaka さんも読むんですね。
ぜひ感想聞かせてくださいね~

NO TITLE

先を越されてしまいました。
私も冴さんの作品を読んでみたいと思っていました。

NO TITLE

mayumi pf さん

お、これから読みますか。
ぜひ感想聞かせてくださいね。

ネットで知り合うか図書館で知り合うか、きっかけは違えど差はないですよね。
顔の見えない相手でも、礼節をつくして付き合えば友人となりえるとレッドは思っています。
過去にも東京で何度かオフ会をしました。
レッドのデブ体型を見てがっかりした人もいたかもしれませんが、話し始めるとネットでの会話と同じですぐその人だとわかります。
喫茶店で、レッドさんとか、アルフさんとか呼び合ってるオッサンやオバサンがちょっと奇異でしたが、楽しい体験でしたよ。

NO TITLE

私も今から読みま~す!

しかし
面白いですよね
ブログで知り合ったってことで
こんな風に広がっていくって

顔は見えないけど
つながりを感じます

NO TITLE

冴先生

お礼なんてとんでもないです。
こちらこそつたない感想文でお恥ずかしい限りです。

あらすじを載せるか載せないか迷いましたが、もしネタバレになっても少しでも興味を持ってくれる人がいれば、と載せることにしました。了解もなく申し訳ありません。

なんか冴さんに読まれると思うとこちらも緊張しました。
でも、飾らずに思ったことを書こうと心に決めました。
恋愛錯誤はまだまだ続くと思いますが、続編に期待しています。
まだまだ書きたいことはあったのですが、書いているうちに長くなってしまいました。

不倫はちょっとアレですが、恋愛っていいな、と思わされた1冊でした。

NO TITLE

ありがとうございます!

コメントを入れるかどうか
10分ほど悩みましたが
取りあえず、お礼を申し上げます(^^)

素晴らしい感想をありがとうございます
これからの執筆活動の励みにします
<(_ _)>
ワンコウォッチ[ジュエリック・シルバー]
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